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サッカー|ヘディングのテクニック
サッカーではインプレー中にキーパー以外のプレーヤーが手を使うことを禁止しています。ただし手(肩より下)以外であれば、背中、肩、顔、お尻、などどこを使ってもファールにはなりません。その中でも体の最も先にある硬い部分「頭」を使うテクニックはヘディングという名がついている通りサッカーにおいてとても重要なテクニックになります。
ヘディング|諸刃の剣?
しかし、このヘディングは注意が必要です。頭には「脳」という人間にとってとても重要なものが詰まっている場所でもあるのです。脳に大きな衝撃が加わると「脳震盪」を起こす恐れがあります。そして最近イギリスの大学で「一般の方に比べてサッカープレーヤーにアルツハイマー病などのリスクが高い」という研究結果が示されました。それによりスコットランドサッカー協会、イングランドサッカー協会は11歳以下のサッカー選手に対してヘディングのトレーニングを禁止する方針を出しました。日本サッカー協会も「育成年代のヘディング習得のためのガイドライン」を発表しました。ここに示されている通り、額にボールを当てる感覚は、風船などごく軽量なもの使用することが推奨されています。
小学生の試合中キーパーのパントキックをヘディングで押し返す、コーナーキックをヘディングで決める、などすごくヘディングが上手い子供達を見ると「さぞトレーニングしているんだろうな~」と思う一方で勝ちにこだわり子供達の将来を考えずとても残酷なことをしているとも思います。このような場所には私の子供を絶対に預けたくないと思ってしまいます。子供達の将来を守るためには周りの目の力も必要だと思います。これはブーイングに値する指導です。
ヘディング|勝敗を決める武器でもある!
安全性については課題がありますが、ヘディングは間違いなく勝敗を決める武器でもあります。ヘディングが上手ければ試合にも出られるチャンスも増えるでしょうし、セレクションなどで評価されるチャンスも増えると思います。だからトレーニングが必要となるテクニックでもあるのです。まさに諸刃の剣です。
しかし、だからと言って生命に危険を及ぼすことまでしてサッカーをやる必要はありません。人生はサッカーだけではないのです。プロ選手も引退後は普通の人と変わらない生活をする人がほとんどです。そのときに脳に何らかの障害があったらやはり生き辛くなってしまうと思います。家族や友達、親兄弟と楽しく送る人生、健康が第一です。危険性について、繰り返し書かせてもらっているのは子供を守ることが出来るのは保護者だけだからです。ジュニア世代の指導者たちはJFA公認指導者ライセンスを持たない方も多くいます。そうなると残念ながらこういった情報がうまく届きません。
話をヘディングに戻します。ヘディングが強い選手にはいくつかの共通点があります。まず「高さ」そして「強さ」です。と言ってしまえば、それで終わってしまいます。しかしこれはあったらより有利な身体的な要素です。小さくてもヘディングで競り勝つことは出来ますし、ゴールを決めることもできます。それでは、まずヘディングが上手くなるために必要なテクニックについてまとめていきます。
ヘディング|上手くなるために必要なテクニックとは?
日本サッカー協会のガイドラインに沿うことも重要ですが、ACA12サッカースクールでは将来ヘディングが上手くなるために2つのことを身に付けてもらっています。一つ目はボールの「落下地点に入る」トレーニング、二つ目は「空中姿勢」を身に付けるトレーニングです。これは、ヘディングで勝つために!よりはヘディングに必要となるテクニックの獲得が目的です。
ヘディングテクニック|①落下地点に入る!
こちらのトレーニングはいろいろな方法で出来ると思います。ガイドラインにあるように風船などを使うことも有効です。あとはキーパートレーニングなどでもウォームアップで行う「三角コーンを逆に持ってワンバウンドしたボールをカッポッ!とキャッチする遊び」も有効になると思います。落下地点に入るためはコーディネーショントレーニングの要素が大きくなってくると思います。
【落下地手に入る】こんなトレーニングがおすすめ!
- みんなで出来る!風船や軽いボールを使ってハンドトスバレーをする
- 2人で出来る!三角コーンを使ってボールをキャッチする
- 2人で出来る!高いボールを投げてクッションコントールをする
- 2人で出来る!高いボールを投げてウェッジコントロールをする
- 1人で出来る!高いボールを投げて手を叩いてキャッチする(手を叩く回数を増やしていく)
- 1人で出来る!高いボールを投げてその場で一回転(360度)してキャッチ
- 1人で出来る!高いボールを投げてでんぐり返しをしてキャッチ
- 1人で出来る!高いボールを投げてワンバウンド目を両足ジャンプでまたいで半回転(180度)してキャッチ
2人で出来る!のトレーニングではボールを投げる場所を変えるのがポイントです。特に背後にボールを投げると対応できない子が多いです。バックステップで下がりながら対応できれば落下地点には入れるようになっていると思います。
ヘディングテクニック|②空中姿勢を身に付ける!の前に・・・
これはかなり重要です。ヘディングが上手くない選手は下から上への力をボールに伝えることしか出来ません。ロケットのように頭を突き上げてボールに当てます。体制が悪いときやクリアするときなどはこのようになることもありますが、後ろから前に力を伝えないとボールのコントールが利きません。使う部分が頭であってもやることはインサイドキックと同じです。
しかし足でやるのと頭でやるのとでは大きく異なることがあります。それは使える関節の数、稼動域です。足には足首、膝、股関節など複数の間接があり微調整が利きますが、頭の近くにはあまりありません。たまに首を振る子がいますが大変危険なのでやめましょう。インサイドキックの足首同様、首は固定しましょう!
ヘディングの空中姿勢|腰を使う場合
頭でボールをはじくために使える間接は「腰」もしくは「肩甲骨」です。仮に腰を使った場合、腰を中心として円運動のどこかでボールを捉える必要があります。そのため腰を使うと「点」でボールを捉える必要がありキックで置き換えるとトウキックのようなイメージなります。サイドからクロスが上がってきた時にトウキックでダイレクトボレーを決める!これはとても難しそうです。相手がいて体を押されている状況ではほぼ無理だと思います。
ヘディングの空中姿勢|肩甲骨を使う場合
もうひとつの可能性は「肩甲骨」にあります。厳密には「鎖骨」「胸骨」「背骨」「肩甲骨」が動くことになりますが、ここでは「肩甲骨」と表現します。ひじを曲げ神社でお参りするように手を胸の前で合わせてみてください。手と腕の形を固定したまま手のひらが正面に向くように開いてみてください。肩甲骨が絞られて背骨が押し出されるように胸骨、頭の位置が前に動いたことに気づきましたか?この動きで野球のバントのように面が前方に動いています。サッカーのキックで表現するとインサイドキックに当たる動きです。サイドからクロスが上がってきた時にインサイドキックでダイレクボレーを決める!これは現実的ですね!
ヘディング|腰と肩甲骨の空中姿勢を考える!
ここで腰で回転する場合と肩甲骨で面を押し出す場合の空中姿勢について考えみましょう。腰で回転するということは文字通り回転する力が生まれています。そうなると地上に足がついていない場合、重たい頭から落ちるリスクが上がることになります。これでは空中で姿勢を安定させることが難しいです。
しかし肩甲骨で面を押し出す場合は前方へ移動する力以外は生まれていません。空中で足が浮いている場合であれば地面との摩擦がないので移動することはなくなります。空中であってもボールのように回転する力が働きますが、前方へ飛ぶ力は羽のようなものがあって大きな空気抵抗を生まない限り力を生み出すことが出来ません。
ここまでをまとめると【前に飛べない状況で肩甲骨を使うことが出来ればヘディングはマスターできる】ことが分かります。地面に足が着いていると足により前進する力を得ることが出来てしますので肩甲骨を使うテクニックを身に付けるためには空中が適しています。
ヘディングテクニック|②空中姿勢を身に付ける!
それではどのように身に付ければよいかという話になります。この空中姿勢は「空中で神社にお参りするような姿勢をとり空中にいる間にその腕を開く」ことでつくることが出来ます。
【空中姿勢が身に付ける!】こんなトレーニングがおすすめ!
- 2人で行う!一人がもう一人の頭上にボールを投げる
- 頭上のボールをジャンプして両手でキャッチする
- キャッチしたボールを着地する前に投げ返す
これを連続10回テンポよく連続で行う。
- 3人で行う!一人を挟んで一列に並ぶ
- ボールを持っている端の子が真ん中にいる子の頭上の届く範囲、もしくは届かない範囲にボールを投げる
- 真ん中の子が届く場合は空中でキャッチして投げ返す
- 真ん中の子が届かない場合は反対にいる子がキャッチしたボールをパスしてもらう
このような形で行うと自分が届かない場合にセカンドボールを狙うという判断が身につくと思います。
サッカー|ヘディングのテクニックを活かす!
ここまではヘディングのテクニックに必要な体の使い方についてのトレーニングです。サッカーではこのテクニックを活かしてプレイする必要があります。このヘディングのプレイに必要となる要素は「球際」のテクニックと「攻撃サポート」「チャレンジ&カバー」のポジショニングです。サッカーはテクニックをみせるだけのスポーツではなく自分がプレイをするスポーツです。
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