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マリーシアが足りない?
このよく聞く「日本サッカーにはマリーシアが足りない」とフレーズ、ブラジルの闘将ドゥンガさんが言っていたような記憶があります。
このマリーシア、よく「ずる賢さ」なんて表現されたりします。
日本では、この「ずる賢さ」という表現があまり適切ではないように思います。これは日本人が「ズルを好まない」からです。
単純に「賢さ」と表現されることもありますが、こちらのほうが日本では受けいれやすい表現だと思います。
最近Jリーグでもこのマリーシアが物議をかもし、またマリーシアが注目される機会になりました。
ここではマリーシアについて丁寧に解説していきたいと思います。
(ただし、私はブラジル人ではないのでサッカーのプレイやその環境から得た感覚的なものになります。)
マリーシア|どんなプレイ?
有名なプレイとしては、マラドーナの「神の手」というものがあります。
そのプレイは、クロスボールを審判から見えないように手を使いゴールを奪いました。
単純な話として、これはハンドというファールです。
昔の映像もyoutubeなどにあると思いますが、映像が荒くとても見づらいものです。
当時、録画されたビデオを確認し「あれはハンドだ!手をこうやって出している!」と教えてくれた友達のお父さんの姿が思い起こされます。
当時は、映像技術の問題もあり「その場ではハッキリしなかった」これが観客の興味となり話題を呼びました。スタジアムにいる観客も席によっては確認不能でした。
一方で現在は、その場のスクリーンで映し出せるほど映像、通信技術が発達してます。
現在は、当時のように「あ、見ていなかった!」「どうなったの?」「魔法だ!」ということは起こらずスロー映像で確認できてしまいます。
UFOなど実物がないものをあれこれ推測するのは楽しいことです。
これと同じことだと思います。
現在では映像という実物があるのでファールで人々が楽しむことは出来なくなったと思います。
では、マリーシアは出来ないのか?そうではありません。マリーシアとファールは別物です。
マリーシア|ちょっとその前に!
最近サッカーを見ていて気になることがあります。
それはあまりにもサッカーを理解できていないことです。
サッカーにはプレイが求められます。プレイは判断と行動を併せ持つものです。
サッカーのプレイとは?サッカーを文化に|もう迷わない!プレイ?プレイモデル?セレクション?テクニック?
判断とは、サッカーの原理原則から派生的に生まれる基準や日常的な常識的な基準です。
行動とは、その判断内容を実行することです。
プレイの原理が違う!
サッカーの試合を見ていると、判断はコーチがしている、行動は選手がしている、というチームを多く見かけます。
本当に多いですが、これは野球です。(後でまとめます)
サッカーでは、プレイするために判断も自分がする必要があります。
一番良くないのは、選手が判断し行動に移すために準備しているのに、外のコーチがシュート!などと判断を変えざる得ないような声を掛けることです。
選手は、判断を行動に移すために最適なポジションなどの準備をしています。ここから行動を変えれば上手くいくわけありません。
「なにやってるんだ!」これは一体誰に向けた言葉でしょうか?
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サッカー|プレイの原理を理解できていない問題
このようなチームは、残念ながらサッカーのプレイを理解できる指導者がいません。
指導法を学ぼう!サッカー|B級指導者ライセンスーずばりトライアルの攻略法とは?!
プレイは選手が行うものであって外から言えるものではないのです。ここを理解できていれば何も言えなくなるのが普通です。
一方でトレーニングでは、プレイを「落とし込む」ためにコーチングを行います。
ここで選手に伝える内容は判断基準です。トレーニングでは予め、その状況が生まれやすくなるようにオーガナイズ(構築)を設定します。
そのため、コーチングはその現象が生まれたタイミングで行われます。
コーチングは、「シュート!やワンツー!」などのプレイの形ではなく、判断材料についてのコーチングです。
サッカーのコーチングとは?
例えば、ボールをみて相手と一対一をして無理やりシュートを打つ選手がいれば「顔を上げてゴールを観てごらん?何か気付くかな?」ゴール前にフリーな味方がいればそこを使ってみることを提案する。
これにより、その選手が「ゴールを観る」というプレイを身に付けることが出来るかもしれません。
「ゴールを観る」というプレイはゴール方向の状況を確認するという判断に伴う行動です。
このプレイにより、フリーな味方へパスを出すという行動が生まれれば、さらなるプレイの選択肢を増やすことが出来ます。
これがコーチングの目的です。
そのため、試合でその行動を生かしプレイを変えることができれば、その選手が成長したことになります。
指導者が行うのは選手の可能性を広げてあげることであって限定することではありません。
マリーシア|サッカーのプレイとは?
サッカーはサッカーでしか上手くならない。ということです。
サッカーは、野球、卓球、バレーボール、体操、フィギアスケート、などと大きく異なります。
サッカーは、プレイするそのタイミングで相手に妨害される、という部分です。
野球ではバッターがバットを振ろうとしているときに相手の選手がタックルしてくることがありません。卓球もバレーも同じです。
これらのスポーツは、ボールに集中してプレイすることが出来ます。
そのため、素振りなどボールに対するスイングの完成度を高めることがプレイの上達に直結してきます。
相手が投げた、打った、ボールに対する技術を高める必要があります。
プレイ|野球の場合
野球であれば判断は選手ではなく監督が行います。
野球のプレイは、監督の判断と選手のプレイというように2人に分担されています。
プレイ|卓球の場合
卓球の場合は判断も自分が行います。
これはボールに対しての判断ということになるので、いろいろなボールを受けることが重要になると思います。
プレイ|バレーボールの場合
バレーの場合は、相手のボールを拾うレシーブは個人の判断がしめる割合が大きく、その後はチームの方針やセッターが判断することになると思います。
プレイ|体操の場合
体操は同じ状況が作られた上で競技を行うので平常心を保つこと、相手は自分ということになります。
いかに平常心を保ち普段どおりの演技が出来るか、これが結果に直結します。
判断は、演技のプログラムを決める指導者、もしくは選手となります。競技はプレイというより反復して体が自然に反応することが必要です。
プレイ|サッカーの場合
サッカーは、自分で状況判断する能力とその結果を実行できる技術が必要です。
また、相手がそのプレイを妨害してくるのでそれを回避できるアイデア、身体能力が必要です。
サッカーは他のスポーツとは異なりプレイを妨害される要素があります。
それを回避する上手さが必要不可欠です。これをマリーシアともいいます。
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マリーシアとは?
ここまでお読み頂いた方は、マリーシアが何のことなのか見えてきたと思います。
最近引退した日本を代表する選手や海外のスーパースター選手は、サッカーが上手い選手を「問題解決するのが上手く、それをスマートにこなす選手」と言っています。
これがまさにマリーシアです。
昔は不確定要素があり「ファール」もマリーシアに含まれていましたが、現在では映像で確認できる確定要素なので「ファール」は含まれないと思います。
現在、ファールを伴うマリーシアは「上手さ」ではなく、自覚の欠損による考えの甘さを表すもの、だと思います。
そのマリーシアによって、見ている人が賛否を唱えるのであれば「否」を唱えている人がいることになります。
プロ選手やクラブ、Jリーグは、観客から収益を得ているわけですから、わざわざ自分で客を減らす可能性がある行為をすること事態、考えられません。
少し厳しいように聞こえるかもしれませんが、一般的な社会人であれば、自社に不利益な行動をすれば処分が下ることを当たり前に自覚しています。
リーグ、クラブ、選手には「ファールが上手さ」という議論ではなく「顧客を逃がす行為」という社会人としての自覚が必要だと思います。
サッカーにおけるマリーシアは賞賛だけを得なければなりません。
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