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1対1のトレーニング
よく1対1のトレーニングをしている姿を見かけます。この1対1のトレーニングは「攻撃」「守備」どちらのトレーニングをしているのでしょうか?JFAの教本にも「1対1」のトレーニングが載っています。1対1は「ボールを奪う」守備のテーマとしてトレーニングメニューが紹介されています。攻撃的なテーマでは「3対3」など他の選択肢がある状況で「1対1」の突破をトレーニングします。
1対1で身につくこと
ここで身に付けるテクニックは「相手との位置関係」「正対する」「ドジング」「体軸をぶつける」「腰から入る」などボールを奪うためのテクニックです。1対1で身につくのが守備テクニックだとすると1対1を攻撃のトレーニングとして行うのはとても不自然になります。せめて守備テクニックが身についた相手と他の選択肢がある中でやらないと攻撃の突破に生かすことが出来ません。
1対1の状況とは?
海外のプレイヤーのドリブルを見れば分かりますが基本的に攻撃側は1対1を避けています。メッシ選手のようなドリブルが上手い選手も1対1で相手をかわすことはしていません。これはサッカー指導者から見ればごく自然なことです。攻撃には「ゴールを奪う」「攻撃サポート」というテーマがあります。その中には「マークを外す」「サポート」とオフザボールの要素が含まれています。これらのプレイに絶対的に必要となるのは「出し手とのタイミングを合わせる」ことです。ヨーロッパで活躍するプロ選手たちのプレイを見てもこれを利用しながら相手をかわしていることが分かると思います。要するに「2対1」です。そのためにはボールをもらう前、もらった時に1枚剥がしておく必要があります。
1対1で起こること?
少し前の漫画になりますがバスケットボールを題材にしたスラムダンクでエースが1対1を仕掛けるとき周りの選手はどうしていましたか?「息を呑んで見守っていた」このような描写があったと思います。そう周りの選手は止まります。忘れてはいけないのはバスケットは上にゴールがありどこからでもシュートを打てるという点です。
JFAの教本にある攻撃テーマ「ゴールを奪う」と「攻撃サポート」には「マークを外す」「サポート」というオフザボールのポジションについてのテクニック、また、動きながらのパス&コントロール、ファーストタッチで相手を越える、などのテクニックを獲得するためのトレーニングメニューが載っています。ボールホルダーが1対1で周りを止めてしまうと周りの選手がこれらのテクニックを獲得できなくなります。そしてこのテクニックがボールをもらう前、もらった時に1枚剥がしてフリーになるプレイです。
1対1で攻撃のトレーニングをしている選手
この選手は圧倒的に球離れが悪くなります。周りの選手がとても良いタイミングでポジションをとっても目の前の相手と1対1をしていて気付いていません。ボールを奪われればピンチをなり時間を掛けることでチームが有効に使えるスペースを悪くしてしまうことにも繋がります。
これは最近、東京オリンピックである選手が言った「日本は1対1をしていたが相手はサッカーをしていた」というような発言や、あるスペイン代表経験のある世界的なFWがスペインで受けた取材で言っていた「日本では今までやってきたサッカーではなく目の前の相手と闘うことを求められた」というようなことと同じ状況です。「マークを外す」ことで最適な場所に入るテクニック、そこでの完璧なコントール、GKとの駆け引きに勝つスキル、これです。このプレイをするためには出してとのタイミングを合わせることが不可欠です。そこで出し手が1対1をしてしまったら?仕事が出来ないので帰るしかありません。サッカーはとても得点が入りづらいスポーツです。守備をなるべく混乱させる状況が必要です。そして得点シーンが最も観客が歓喜する瞬間なのでプロとして必要なスキルは・・・もうお分かりですね。
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1対1信仰?
指導者の中にも1対1の信者と思えるくらい、これにこだわる方もいらっしゃいます。最近ではドリブル塾というものも流行っています。確かに相手を1枚剥がすことで数的優位につながることはあります。ただ攻撃に時間を掛けることでゴール前の守備が整ってしまうこと、チームの足が止まり奪われ方が悪くなってしまうこと、周りの選手を生かせないこと、などサッカーの原理原則、4局面でのプレイとして必ずしもどの場面でも適切とは言いがたいです。少し厳しいことを言うと1対1だけで上手くなる感覚を持っている方は守備をトレーニングすることが出来ないと思います。守備のトレーニングをすれば1対1がいかに相手に守備の準備時間を与えているか気付くと思います。これはフットサルではなくサッカーの話です。
バランスが大切!
先ほどのスラムダンクのところでも書きましたが、バスケットボールはどこからでもシュートが打てる状況で1対1をしています。サッカーでもゴール前であれば有効な手段となります。シュートの脅威があり、周りを止めることは相手にとってボールウォッチャーが生まれやすい状況となります。
しかしジュニア期に1対1で相手をかわうことに偏ったトレーニングをしてしまうと癖になってなかなかボールを離せない選手になってしまいます。またジュニア世代の試合を見ると守備をしっかりトレーニングしているチームはあまり見かけません。守備が出来ない選手が相手ならば1対1で優位に立つかもしれません。とても上手く見えると思います。でも、しっかり「ボールを奪う」「チャレンジ&カバー」など守備トレーニングをしてテクニックを身に付けているチームもあります。
「ボールを奪う(1対1の守備)」「チャレンジ&カバー」を身に付けた選手達に対応するためには「マークを外す」「サポート」などオフザボールの攻撃テクニックが見に付いていないと、ただただ「相手よりも走る」サッカーを追及することになってしまうと思います。
ブラジルの選手は1対1を良く仕掛けます。圧倒的なテクニックで強靭な守備を突破する姿は観客が求めるプロフェッショナルなプレイです。ただこれは世界でも数人しかいないスペシャルな選手です。
攻撃サポートとは?
こちらの記事をチェック!ポジショニングの良い選手とは?
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