目次
サッカーの原理原則とは?
サッカーには原理原則という不変の構造があります。
このサッカーの原理原則は、攻撃、失う、守備、奪う、の4つの局面で構成され、これを繰り返すのがサッカーです。これを4局面と呼んだりもします。
このサッカーの原理原則は不変であるためサッカーの羅針盤のように使うことができます。
サッカーの原理原則についてはこちらを!原理原則と4局面|サッカーのトレーニングでおさえること
また、サッカーの原理原則からはいろいろな考えが派生していきます。
サッカー以外でも、一つのボールを2つのチームで奪い合い、それぞれが持つゴールを守り、相手のゴールを狙う、時間制でより多くの得点を取ることで勝敗が決るスポーツには、この原理原則が等しく当てはまると思います。
サッカーの原理原則|セットプレイの存在
例えば、バスケット、ホッケー、ハンドボール、などはサッカーの構造と同じです。
ラグビーなどは時間制ではありますが、プレイのリスタートがセットプレーになるため少し構造が異なります。
セットプレイで再開するスポーツとサッカーとで大きく異なる点は相手が守備を整える時間があるところです。
時間を止めることで局面が「攻撃」vs「守備」の状態からリスタートされます。
ラグビーなどは常時しっかりと守りを固めたところを攻める、という点がサッカーと異なります。
サッカーにも、キックオフ、スローイン、コーナーキック、ゴールキック、ペナルティーキック、などのセットプレイが存在しています。
そして、このセットプレイでは多くの得点が生まれています。
これは守備側にボールとゴールという2つのものを見なければならない、という難題が課せられることで生まれる機会です。
セットプレイではこの難題を作り出すことでゴールシーンをつくることが出来ます。
一方でリスタートが常にあるラグビーなどのスポーツでは、ゴールの要素を変えることで守備側に難題を突きつけています。
ゴールは「点(ドット)」ではなく「線(ライン)」にして幅を広げたり、キックという別のゴール手段があったりします。
ここでもキックゴールという存在で2つの要素を守るという難題を守備側に課しています。
ゴールが変わることで選手も変わる?
これにより、求められる選手の能力も変わってきます。
幅のあるゴールを狙うためには、他を圧倒するスピード、パワーが必要です。(ルールもそれに合わせてつくられます。)
中央にあるゴールを狙うためには、相手をだますアイデアも必要となります。(ルールもそれに合わせてつくられます。)
特にサッカーでは、ゴールキーパーの存在が攻撃側にフィジカルだけでは解決できない課題を突きつける形になっていると思います。
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サッカーの原理原則|2つの要素を守ることで生まれる現象とは?
もし、ラグビーなどでサッカーのような中央にある「点」のゴールだけで試合をやったら?
これは、得点機会が生まれづらくなるのでは?と推測できると思います。
なぜ、推測できてしまうのでしょうか?
例えば、鬼ごっこの「増え鬼」や「手つなぎ鬼」で鬼に囲まれてしまっらたら逃げ切れるでしょうか?
きっとつかまってしまうだろう・・・という考えが生まれると思いますが、これは過去の経験に基づいたものに他なりません。
この過去の経験から「やってもしょうがない」と判断することが出来てしまいます。
それでは、結果が想像できてしまうことって楽しいでしょうか?
これは楽しくない、と思います。
なぜ楽しくないのか?というと結果を推測できてしまうからです!
逆に、人は結果や過程を推測できなければそれに興味を持ちます。
これは、UFOやUMA、徳川埋蔵金など、少しでも期待や興味を抱くと面白いものになってくるのと同じです。
やってみなければわからない!
これが2つの要素を守る、ということで生まれる現象です。期待が持てます。
選手も「どうせ、負けるから」という心持で試合に臨んでも楽しくはないと思います。
しかし、選手も「勝てる!」という気持ちがあれば行動を変えることができます。
ひとり退場を出して10人になってしまった・・・でも勝つ!という気持ちが持てれば結果を変えることが出来るかもしれません。
結果を変えることが出来れば、いい意味で期待を裏切ることが出来ます。
この「いい意味で期待を裏切ること」がスポーツをやる、観る上で人々を引き付ける要素になると思います。
サッカーの原理原則|ゴールを生み出す2つの機会
さて、サッカーの原理原則には「攻撃」をはさんで2つの局面があります。
それは「奪う」という局面と「失う」という局面です。
この2つの局面はボールの状況を表しています。
攻撃は「ボールを奪う」ことで実行されます。
また、攻撃は「ボールを失う」を回避することで継続されます。
この2つ機会は全く異なるものです。
しかし、これを分けてトレーニングしているチームは少ないかもしれません。また、そこにいる選手によっても攻撃の形が変わってくると思います。
攻撃の機会が「ボールを奪う」に偏っている選手が多いのであればサッカーは必然的にそちらに傾いていきます。
この2つの攻撃機会は、「ボールを奪うことで守備が出来ていない状況を突くカウンター」と「相手が守備を固めた状態を突破する動的なセットプレイ」という事が出来ます。
サッカーの原理原則|カウンターの攻撃スタイル
子供達のサッカーでよく見かける現象は、ゴールキーパーが遠くに蹴って追いかける通称「タテポンサッカー」です。
また、みんなでボールに密集する団子サッカーがこの攻撃に当たると思います。
今ではストリーミングと言ったりするようですが、要は「タテポンサッカー」と「団子サッカー」です。
ここで重要となることは、相手が守備体制をとれていない、という状況です。
当然、攻撃側は相手の守備がそろう前に攻撃を終わらせなければゴールに迫ることが出来ません。
ゴールに近づけなければ、前にボールを出して高い位置でボールを奪いまたカウンターを仕掛けます。(ストリーミング)
カウンターを実行する選手には、スピードとパワー、それを繰り返すことができる体力、正確なパス技術、コントロール技術、フィニッシュを決めきるシュート技術などが求められます。
カウンターでドリブルを選択することは、守備体制が整ってしまう恐れを考慮する必要があります。ドリブルは人が移動するので守備も同じ移動距離になってしまいます。できれば、守備が移動するスピードより速くゴールに到着したいのでパスのほうが有効になります。
カウンターでドリブルを使う場合には「動的なセットプレイの攻撃スタイル」も出来なければなりません。
サッカーの原理原則|動的なセットプレイの攻撃スタイル
動的なセットプレイというのは、リスタートとしてプレイを止めるものではなく、ボールを守るためにパスをまわすことを指しています。
バックパスのような状況がこれに当たります。
サッカーでよく使う言葉に置き換えると「ボールポゼッション」がそれに当たります。
子供達のサッカーではゴールキックからのリスタートがこれに近いかもしれません。
ようするに、ビルドアップの過程でこのようなプレイが必要になってきます。
これはなんら難しい話ではなく、4対2のロンドで身に付けることができます。
このとき外の4人には、辺を移動するようオーガナイズします。
中の2人には、ボールに対して平行に並ばないようにポジションを取りボールを奪うことを促します。(一人がチャレンジし一人がカバーする)
これでボールホルダーに対して両サイドにいる味方と対角にいる味方という形をつくることが出来ます。
中の2人は平行に並んでしまうと対角にボールを通されてしまうので少しずれる必要があります。しかし、ボールをどちらかのサイドにいる味方に出されてしまうと角度が変わりこのズレがなくなってしまいます。ここで平行になってしまうタイミングが生まれてしまいます。
2人の間を狙うことを促すために、間を通したら得点を与えるようなゲームにすると集中してトレーニングできます。
少し別メニューで両サイドと対角について理解を深める必要がありますが、このロンドを繰り返すことで「動的なセットプレイの攻撃スタイル」が上手くなります。
サッカーの原理原則|混ぜるな危険!?2つの攻撃スタイル
このようにサッカーの原理原則からは2つの局面に起因する2つの攻撃スタイルが見えてきます。
相手からボールを奪いカウンターを仕掛けると誰もが思っているときに相手が引いたスペースを高速ドリブルで駆け上がりゴールに近づく。
シュート機会を消すために守備が対応したとき、逆サイドを駆け上がる味方へパスを通す。
このシーンでは観客の期待をいい意味で裏切ることが出来ていると思います。
しかし、最後までボールを放さずあまり良い体制でもないのにシュートを打ちに行く。
まあ、アスリートとしてはすごいんだけど・・・
うん、打つと思ったよ・・・頑張った・・・
そこまでやって外れすんかい!
となってしまうと、観客の期待を裏切れていないのでブーイングされてしまうかもしれません。
このように攻撃は2つのスタイルを混ぜることで観客の期待を裏切ることが出来、相手にも対応の難しい課題を課すことができます。
この2つの攻撃を混ぜることは、子供時代から続けていた習慣によって生まれるものだと思います。
日本の育成現場で見るのは圧倒的に「カウンターの攻撃スタイル」です。
「動的なセットプレイの攻撃スタイル」に取り組んでいるチームも見ることが出来ますが、セットプレイの形をカウンターの質で行っているような状況だと思います。
この歪なスタイルは、選手たちが行っている攻撃ではなく指導者が行わせようとしている攻撃の場合生まれてしまいます。
サッカーのプレイは選手がするものであって指導者がさせるものではありません。
指導者の想像も超えられない攻撃では、本当に強い相手に勝つことは出来ないし観客を驚かせるプレイが生まれるわけがありません。
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